、又はこれに対抗して行く意志や感情や信念は積り積って行く中《うち》に、更にその人の性格を作って行くものであります。即ちその人の性格は、その人の経歴の縮図で、その性格をすっかり見せている鼻の表現は、その人の将来の運命と共にその持主の経歴も象徴しているのであります。
 その人の性格の基礎となるべき個性の中《うち》には、先天的の分子、即ち遺伝に依って稟《う》け継いだ性質が多分に含まれている事は学者の証明するところであります。その先天性の中《うち》には、動物性もあれば人間性もあります。動物性というのは吾々の祖先が猿か猫か何かであった時代に体験して来た性質で、子供の時に只わけも無く木に登って見たり、動物を生《なま》殺しにして玩弄《おもちゃ》にして見たり、又は無意味に暗黒を恐れたりするのは、この性質の発露だそうであります。
 人間性というのは、これが洪積世以後人間にまで進化してから各種の体験に依って作り上げた特性で、こんなのが通有性と固有性とを問わずゴチャゴチャと遺伝されている事は申すまでもありませぬ。そうしてその固有性を基礎として築き上げられたその人の性格は、その鼻の表現に依って他人に反映して、
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