は諸君ばかりのように見受けたが、違っていたか知らん。序《ついで》にお尋ねするが一体、諸君は講演の第二日の報告を、何と書かれるつもりですか。参考のために承っておきたい。まさか公会堂で演説中に爆弾が破裂したとも書けまいし……困った問題ですなあ……これは……」
 と冷やかしてやった。ところがコイツが一等コタエたらしいね。イキナリ、
「……ケ……怪《け》しからん……」
 と来たもんだ。眼先の見えない唐変木《とうへんぼく》もあったもんだね。
「……そ……そんな事に就いては職務上、君等の干渉を受ける必要はない。君はただ訊問に答えておればいいのだ」
 と頭ごなしに引っ被《かぶ》せて来た。……ところが又、こいつを聞くと同時に、最前《さっき》から捻じれるだけ捻じれていた吾輩の神経がモウ一《ひ》と捻じりキリキリ決着のところまで捻じ上ってしまったから止むを得ない。モウこれまでだ。談判破裂だ……と思うと、フロックの腕を捲くって坐り直したもんだ。
「……ハハア……これは訊問ですか。面白い……訊問なら訊問で結構ですから、一つ正式の召喚状を出してもらいましょうかね。その上で……如何にも吾輩が最初から計画してやった仕
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