事に相違ない……という事にして、洗い泄《ざら》い泥水を吐き出しましょうかね。要するに諸君の首が繋がりさえすれあ、ほかに文句はないでしょう……」
 と喰らわしてやったら、連中の顔色が一度にサッと変ったよ。
「……エヘン……吾輩は多分、終身懲役か死刑になるでしょう。君等のお誂《あつら》え向きに饒舌《しゃべ》ればね……ウッカリすると社会主義者の汚名を着せられるかも知れないが、ソレも面白いだろう。日本民族の腸《はらわた》が……特に朝鮮官吏の植民地根性が、ここまで腐り抜いている以上、吾輩がタッタ一人で、いくらジタバタしたって爆弾漁業の勦滅《そうめつ》は……」
「……黙り給えッ……司直に対して僭越だぞ……」
「何が僭越だ。令状を執行されない以上、官等《かんとう》は君等の上席じゃないか……」
 と開き直ってくれたが、その時に横合いから釜山署長が、慌てて割込んで来た。
「……そ……それじゃ丸で喧嘩だ。まあまあ……」
「……喧嘩でもいいじゃないか。こっちから売ったおぼえはないが、ドウセ友吉おやじの鬱憤晴らしだ」
「……そ……そんな事を云ったらアンタの不利になる……」
「……不利は最初から覚悟の前だ。出る
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