任を問うているのだ」
と吾輩の一番痛いところを刺して来た。その時には吾輩、思わずカッとなりかけたもんだ……が、しかしここが大事なところと思ったから、わざと平気な顔で空を嘯《うそぶ》いて見せた。
「……成る程……その責任なら当方で十分十二分に負いましょうよ。……しかし爆弾を投げさせた心理的の動機はこの限りに非《あら》ずだから、そのつもりでおってもらいたいですな。無辜《むこ》の人間に生命《いのち》がけの不正を働らかせながら、芸妓《げいしゃ》を揚げて高見《たかみ》の見物をしようとした諸君の方が悪いにきまっているのだから……諸君は友吉おやじの最後の演説を記憶しておられるだろう……」
と云って満座の顔を一つ一つに見廻わしたら、一名残らず眼を白黒させていたよ。
「……しかし……あれは元来……有志連中が計画したもので……」
と隅の方から苦しそうな弁解をした者がいたので、吾輩は思わず噴飯《ふんぱん》させられた。
「……アハハ。そうでしたか。ちっとも知りませんでした。……しかし拙者が拝見したところでは、有志の連中には余り酔った者はいなかったようである。実際に泥酔して乱痴気《らんちき》騒ぎを演じたの
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