白髪小僧
夢野久作
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)銀杏《いちょう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)皆|遣《や》ると云い出しました。
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》った
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第一篇 赤おうむ
一 銀杏《いちょう》の樹
昔或る処に一人の乞食小僧が居りました。この小僧は生れ付きの馬鹿で、親も兄弟も何も無い本当の一人者で、夏も冬もボロボロの着物一枚切り、定《きま》った寝床さえありませんでしたが、唯《ただ》名前ばかりは当り前の人よりもずっと沢山に持っておりました。
その第一の名前は白髪《しらが》小僧というのでした。これはこの小僧の頭が雪のように白く輝いていたからです。
第二は万年小僧というので、これはこの小僧がいつから居るのかわかりませぬが、何でも余程昔からどんな年寄でも知らぬものは無いのにいつ見ても十六七の若々しい顔付きをしていたからです。又ニコニコ
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