今日のお目見得来て見れば、
 藍丸王のお后は、
 自分でなくて妹の、
 美紅か悪魔か海の魔か。

 今王宮の奥深く、
 ひとり静かに眠る時、
 熱い涙が眼に湧いて、
 右と左にハラハラと、
 流れ落ちるは夢ながら、
 夢ではないという証拠。

 夢の中なる夢を見て、
 夢とは知らぬ現《うつつ》にも、
 つらい悲しいこの思い。
 われから迷う身の行衛《ゆくえ》、
 知っているのは世の中に、
 赤い鸚鵡の他にない。

 世に美しい柔順《おと》なしい、
 女の中の女とも、
 見ゆる濃紅が何故《なにゆえ》に、
 王の后になれないか。
 美紅か悪鬼《あくま》か王様の、
 后になったは何者か。

 知ってる者は他にない。
 黒い海には波が立つ、
 青い空には雲が湧く、
 昔ながらの世の不思議、
 今眼の前に現われた、
 赤い鸚鵡の他にない」
 濃紅姫はこの歌を聞きながらソロソロと起き上って、隣りの室《へや》の戸口に来て、なおも耳を澄ましていますと、たった今まできこえていた鸚鵡の歌はピタリと止みまして、室《へや》の中に人の居る気はいも為《し》ませぬ。
 そうして思いもかけぬ後《うし》ろから、そ
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