ように輝き出て、さしもに広い大広間中に照り渡りました。
 集まっていた人たち皆、この有様に眼も心も奪われて、酔うたようになってしまいました。そしてその場でその少女はお后に定《き》まりましたが、又濃紅姫の閑雅《しとやか》な美しさも藍丸王の御眼に留《と》まって、王様のお付の中《うち》で一番位の高い宮女として宮中に置く事に定《き》まり、又|他《た》の四人の女も王様のお側付となって、直ぐにその日から御殿に留《とど》まる事になりました。
 けれども濃紅姫は自分がどんな役目をうけているか、自分の事を人々がどんなに評判をしているか、そんな事は少しも気にかける間《ま》がありませんでした。只一心に海の女王と名乗る少女の姿に見とれて、呆れに呆れておりました。ところがその中《うち》に不図《ふと》濃紅姫は、恐ろしい事を思い出して、思わず身ぶるいをしました。「この少女はもしやあの、悪魔とかいうものではあるまいか。紅矢兄様は御病気の時、悪魔が美紅に化けていると仰《おっ》しゃった。あの悪魔がこの女王ではあるまいか。それでなくてもし美紅ならば、妾の前に来てあんなに平気でいられる筈はない。そしてもし美紅でもなく又悪魔で
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