壺の上に土を被《かぶ》せて、銀杏の葉を撒き散らして、あとをわからないようにしておきました。

     十八 氷と鉄

 その日も無事に過ぎて翌る朝になりますと、紅矢の家から又もや急な使いが来て、青眼先生に大急ぎで来てくれとの事でした。先生は取るものも取りあえず直ぐに駈け付けて見ますと、昨夜《ゆうべ》夜通し寝ず番をした紅矢のお父さんと黒牛とが、玄関に出迎えていまして、両方から手を引いて、紅矢の寝床へ案内をしました。そうしてそこの椅子に腰かけさせまして、暫く黙って紅矢の様子を見ていてくれと頼みました。青眼先生は愈々《いよいよ》不審に思って、一体これはどうした事と怪しみながら、頼まれた通りにじっと紅矢の寝顔を見つめていますと、やがて紅矢は頬の色を真青にして、火のように血走った両方の眼をパッチリと開きました。そうして天井を睨《にら》みながら身もだえをして、
「昨夜《ゆうべ》来た、悪魔が来た。美紅姫にそっくりの悪魔が男子の着物……紫の髪毛《かみのけ》……銀の剣《つるぎ》……金剛石《ダイヤモンド》の鈕《ぼたん》……窓から白い手を出して……手には美しい宝石の紐《ひも》を持って……その紐を投げ付けた
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