慕い申し上げていた事を初めとして、今度王様が御自身で濃紅姫を妃に迎える約束を遊ばしながら、又御自身でその約束をお破り遊ばした上に、今から一週間の後《のち》に他《た》の女と一所にお目見得に出せと仰せられた事、自分は余りの切なさに夢中になって「瞬」に乗って駈け出した事、それからその夜《よ》の内に多留美の湖の傍まで行って帰りがけ、只《と》ある橋の上で馬が躓《つまず》いたために落ちて怪我をした事など、有る事無い事、紅矢から聞いた話に添えて、詳しく話して聞かせました。
 両親は聞く事毎に驚く事ばかりでした。そうして事情《わけ》はすっかり解かりましたが、その中で濃紅姫を他の女と一所にお目見得に出す事だけはあまりに情ない浅ましい事で、殊に都合よく御妃になる事が出来れば兎も角も、もし間違って王様の御気に入らないような事があると、これ位|恥辱《はじ》な事はないからと云って、両親は容易《たやす》く承知致しませんでした。
 併し美留藻の似せ紅矢はここが大切なところと思いまして、一生懸命になって濃紅姫の容色《きりょう》を賞め千切って、仮令《たとい》どんな女が来ても妹以上に美しい女は居ないから大丈夫だ。それに藍
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