残って、そうしてこの国の女王となって、勝手気儘な事をしようと思っておられるので御座いますぞ」
「では濃紅姫はお后になる事は出来ないのか」
 と紅矢は声を震わして尋ねました。
「はい、出来ませぬ。出来ませぬ。妹御の美紅姫が邪魔を遊ばします。いや、美紅姫ではない。悪魔に咀《のろ》われた美紅姫、つまり夢の中の美留女姫が邪魔を遊ばします」
「嘘だ。美紅姫はそんな悪い女でない。又そんな悪魔に魅入られるような女ではない。私はお婆さんの云う事を本当にする事は出来ない。他の占《うらない》は皆当ったけれども、今の占だけは決して当らない」
 と紅矢は顔を真赤にして、身を震わしながら云い切りました。けれどもお婆さんは中々|凹《へこ》みませんでした――
「今までの占がもし当ったとすれば、今の占も決して中《あた》らぬ筈は御座いませぬ。嘘だと思《おぼ》し召《め》すならば、その証拠を御覧に入れましょうか」
 紅矢はお婆さんからこう云われても、どうしても妹の美紅がそんな事をするとは思われませんでした。そしてあの可愛い妹を悪魔のように云うこの婆さんが、心から憎くなりまして、もう一時も馬に乗せておく事は出来ない位腹が立ち
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