わないで、只明けても暮れても解からない解からないと云い続けている。けれども別段病気でもなさそうだから、打っちゃらかしておくのだよ」
「まあ、そうで御座いますか。それでやっとわかりました。それではその美紅姫は、黒い大きな眼をした、眉《まゆ》の長い、そして紫色の髪毛《かみのけ》が地面まで引きずる位、長いお方では御座いませんか」
紅矢はこのお婆さんが、自分の妹の事を、どうしてこんなによく知っているのかと、怪しみながら答えました。
「そうだよ。それにすこしも違《ちがい》はない」
「フム、そうで御座いましょう。ではもしやその美紅姫は、この間の朝不思議な夢を御覧になりはしませんでしたか」
この言葉を聞いた紅矢はあまりよく中《あた》るのに驚いてしまって、口を利く事が出来ず只やっとうなずいたばかりでした。けれども婆さんは構わずに――
「フム。フム。フム。いよいよ妾の占いは本当だ。では今一つお尋ね申し上げます。その美紅姫がその夢を御覧遊ばした朝、お眼が覚めて吃驚《びっくり》なすった時、窓の処に一匹の赤い鳥が居はしませんでしたか」
紅矢はもう、余りの不思議に呆《あき》れてしまって、只深いため息をつく
前へ
次へ
全222ページ中124ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング