と打音楽器は、切っても切れぬ芸術的因縁を以て、一如に結び付いているものである。
吾人は希臘《ギリシャ》の仮面舞踊劇を今一度、モットモット深くかえりみる必要がある……。
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……というような考察は、英国の極めて高等な芸術家たちの論議に散見しているところだそうである。
その他、仏蘭西《フランス》人は直観的に能の表現の尖鋭さを推賞し、独逸《ドイツ》人は能楽のリズムを表現する間拍子が異常な発達を遂げているのに驚異して、これを科学的に分析研究しているという。
その他、曰《いわ》く何、曰く何と色々な研究の話を聞いているが、外国語のわからない私には、直接に原書を読む事が出来ない。又訳書も無いらしいので、畢竟《ひっきょう》、噂の噂程度の引例にしかならないのを悲しむ。しかし、それでも、その研究や発表が上述の如く、能の根本義に触れている点は三嘆に価するので、日本人でもそんな風に能の根本精神に触れた考察をめぐらしているものはあまりあるまいと考えられる。
外国の最高知識階級に属する人々の能楽研究熱がコンナ風に盛んになるに連れて、日本来遊の外人達の間に、「日本に来て能ダンスを見な
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