月《くらげ》のように漂わそうとこころみながら……。そうすると彼女はチョットそこらを見廻しながら、その私の頭のすぐ横に、青白い、大きな曲線美を持って来て、これ見よがしに腰をかけた。恰《あだか》もその肉体の魅力で私を脅迫するかのように、真珠色に濡れた乳をゆらめかせながら、私の顔をニッコリと覗き込んだ。声を低くして囁いた。
「おだてるのじゃないわよ。……あなた考えなくちゃ駄目よ。……ネ……叔父さんはこの頃、あなたを養子にする事にきめたのよ。そうして自分の財産を全部譲るっていう遺言状を昨日《きのう》書いてよ。今頃はもう公証人がどうかしているでしょう」
「フーン僕に呉《く》れるって……」
と私は平気な声で云った。そのウラに隠されている彼女の手管《てくだ》を見透かしながら……。
「そうよ……」
と云いながら彼女は大きな眼で今一度そこいらを見まわした。気味悪く笑いながら前よりも一層低い声で云った。
「だけど、その遺言状を書かしたのは妾《わたし》よ」
「……………」
「わかって?……」
「……よけいな事を……」
私は思わず噛んで吐き出すようにこう云った。そうして、その私の横頬を急に唇を噛んだまま
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