輩は廊下の空間を泳ぐようにフラフラしながら表に出ると、流線スターのセダンが待っていたので、その中に転げ込んだ。動き出すと運転手が聞いた。
「どちらへ……参りましょうか」
「帝国ホテルだ。……その帝国ホテルの裏手の空地になあ……その空地に並んでいる土管の右から三番目の入口へ着けてくれい。ああ、愉快だ。赤い帽子を冠ろうよオだ。アッハッハッハッ。皆さん左様なら……」
底本:「夢野久作全集5」ちくま文庫、筑摩書房
1991(平成3)年12月4日第1刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、「関ヶ原」は小振りに、「一ヶ月」は大振りにつくっています。
入力:柴田卓治
校正:かとうかおり
2000年12月6日公開
2006年3月14日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全14ページ中14ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング