塵となった。
 唯心も唯物も現在、塵となりつつ在る。
 すべては、吾々の生命と共に、古ぼけた、むせっぽい、時代の塵の上に消え込みつつ在る。ことによると塵こそ造物主の正体なのかも知れない。
 塵よ。塵よ。
 お前は一体何をしているのか。
 喜劇をやっているのか、それとも悲劇をやっているのか。デタラメなのか、本気なのか。拍手しているのか、嘲罵しているのか。
 ナントまあ、渦巻き狂う塵だろう。



底本:「夢野久作全集7」三一書房
   1970(昭和45)年1月31日第1版第1刷発行
   1992(平成4)年2月29日第1版第12刷発行
初出:「新潮 30巻3号」
   1933(昭和8)年3月
入力:川山隆
校正:土屋隆
2007年7月23日作成
青空文庫作成ファイル:
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