すね。そこが病気のセイだったかも知れませんが、図星を指されてハッとしたようなアンバイで変テコレンな眼のまわるような気もちになっちゃいました。そこいらがだんだん薄暗くなって気が遠くなって行くようなアンバイで……そのまんま引っくり返《けえ》っちゃったらしいんです。気が弱かったんですね、あっし[#「あっし」に傍点]は……もっともその時にはモウ六の親父《おやじ》と一緒に揃ってソンナ病気にかかっていたんだそうですから仕方がありませんがね。妙な病気があればあったもんでゲス。癲癇《てんかん》なら差詰《さしづ》め地球癲癇だったのでしょうが、そんなオボエは毛頭なかったんで……自分でも、おかしいと思いましたよ。
ですから同じ病気にかかっていた六の親父《おやじ》も、あっし[#「あっし」に傍点]が引っくり返《けえ》ったのを見ると直ぐに追っかけて引っくり返《けえ》りやがったんだそうで……これは大変だと思ったトタンに世界中が平ベタクなったてんですからダラシのねえ野郎で……お蔭でステテコはオジャンになっちまいました。誰が云い出しものか知れませんが、モトモト平べったい処に住んでいる人間に「世界は丸い」なんて罪な御布
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