から何《どう》やら物を言いたそうな眼付きをして、あっし[#「あっし」に傍点]の方を見ておったように思いますがね。そいつを一方のチイチイって娘《やつ》が感付いて横槍を入れたものらしいんです。ヘエヘエ。その通りその通り。あっし[#「あっし」に傍点]の取り合いっこが始った訳なんで、ヘヘヘ。ヘエヘエ。大した色男になっちゃったんで……油をかけちゃいけません。ああ暑い暑い……イエイエ。モウ頂けやせん。ロレツが廻らなくなっちゃ困るんで……アトにモノスゴイ話がつながってるんでゲスから……ヘエ。

 ……というのはこのチイチイって奴が大変なものなんでげす。あとから聞いた話では支那人と伊太利《イタリ》人の混血娘《あいのこ》だったそうですが、とても素晴らしい別嬪でげしたよソレア。おまけにテエブルの六ツは愚か二十でも三十でも持って来て下さい。一人で捌《さば》いて見せるからナンテ大それた熱を吹きやがって、来る早々から仲間に憎まれておりましたがね。生やさしい女じゃ御座んせんでしたよ。
 そうですねえ。年はあれでも二十二三ぐらいでしたろうか、スッカリ若返りにしておりましたので一寸見《ちょっとみ》はフイ嬢《ちゃん》よ
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