りながら、白い大きな蝶のように美しく踊りまわりました。
そのうちに大勢の舞姫は踊りながらだんだん二人へ近寄って来て、手に手に二人を舁《かつ》ぎ上げたと思うと、そのまま踊りをやめて雪の塔の中へ連れ込みました。
雪の塔の中はどんなにか寒いだろうと玉雄は思っていましたが、まるで違って春のように暖かです。舞い姫たちは二人を軽々と舁《かつ》ぎ上げたまま、梯子段《はしごだん》をだんだん上に昇って行きます。
第一の室は青い光りに満ち満ちておりました。第二の室は赤い光りで照らされています。第三は紫、第四は黄色とだんだん上へ上って行って、とうとう真っ白い光りが真昼のように満ち満ちている一番高い大広間に来て、床の上に降されました。
ここまで来るうちに二人ともすっかりあたたまって、着物まで乾いてしまいましたので、二人は床の上に下されると、唯驚いてしまってあたりをキョロキョロ見まわしました。
兄も妹も雪の塔の大きいのに驚きました。四方の壁も天井も床も銀のように輝いていて、大広間の天井や隅々には四季の花が眩《まばゆ》い位美しく咲いて、室の真中に天井から吊りさがった青白いランプの光りで照らされています。
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