命の御弁解で、虎間先生はやっと間違いの原因を納得されました。そうして虎間先生を奏任待遇にすることと昇給させる事を条件として、校長先生の過ちを許して上げると言う事で、お話が折合った模様で御座いました。
それに引き続いて今度は、私の口を塞《ふさ》ぐ方法に就いてヒソヒソと話し合っておられたようでした。クスクス笑いの声と一緒に「大阪」とか「廃物利用」とか言ったような言葉がチラチラと洩れて来たようでしたが、大部分はほとんど聞こえませんでした。他人に言えと仰言ってもコンナ秘密をお喋舌《しゃべ》りするような私ではないのにと思い思い、胸を一パイにして聞いておりました。そうして最後にお二人はコンナ問答をされました。
「よう御座いますか森栖さん。万一、貴方が奏任待遇と昇給のお約束をお忘れになると、貴方が大変な御損をなさる事になるのですよ。妾はもうこの春に二人の子供が大学と専門学校を一緒に卒業するばっかりになっておりますし、一生喰べるくらいの貯えは今でも持っているのですから、世間からドンナ事を言われても怖い事はありません。ただこの上の欲には二人の息子の結婚費用と恩給を稼がせて頂けばいいのですから……どんな
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