こと……ホホ。貴方も一生涯、忘れないで頂戴ね。楽しみが出来ていいわ」
「……殺してくれる……」
「どうぞ……貴方みたいな可愛いお人形さんに殺されるのは本望よ。妾はサンザしたい放題のことをして来た虚無主義のブルジョア……惜しい浮世じゃ御座んせんからね。チャントお待ちしておりますわ、ホホホホホ……では左様なら……ホホホホホホ……」
誇らかに笑いながら彼女は、見返りもせずに静々と廊下に出て行った。向うの隅に固まって煙草を吸っている刑事連に嫣然《えんぜん》と一礼した。
「ありがとう御座いました。お手数かけました。アノ……どうぞお連れなすって……ホホホホホホ」
底本:「少女地獄」角川文庫、角川書店
1976(昭和51)年11月30日初版発行
2000(平成12)年12月30日41版発行
入力:うてな
校正:土屋隆
2005年5月3日作成
青空文庫作成ファイル:
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