込んでいたに過ぎないことを知りました。
私はそれが更に山本氏のお作、「窓」までも一気に読み終《お》えました。そうして眼を閉じて見ますと、探偵小説の本来はかくあるべきもの――そうしてかく六ヶ《むずか》しいものであるということをまざまざと印象づけられまして、いよいよ兜《かぶと》を脱《ぬ》いでしまいました。「新青年」に載っているいろんな創作が、表面は何の苦もなく面白く読まれていながら、実はなかなか容易ならぬものだ。この種のものは読むにも書くにも、普通のものよりずっと深い強い処に興味の焦点を置かなければならぬものだ……ということをもその時に初めて思い知ったことでした。(知名の人に関係がありますので文中の固有名詞を符号にしたことを御諒恕願います)
底本:「夢野久作全集11」ちくま文庫、筑摩書房
1992(平成4)年12月3日第1刷発行
初出:「新青年 第七巻第十二号」
1926(大正15)年10月
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2006年5月3日作成
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