若返り薬
夢野久作
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)中《あた》りません。
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一年分|宛《ずつ》切り取って、
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太郎さんはお父さまから銀色にピカピカ光る空気銃を一梃頂きました。大喜びで毎日毎日雀を撃って歩きましたが、一匹も中《あた》りません。そのうちに弾丸《たま》が一発も無くなりました。
お父様に弾丸《たま》を買って下さいとお願いしましたが、
「まだ店がお休みだから」
と云って買って下さいません。雀は表でチュンチュン鳴いて、何だか太郎さんを馬鹿にしているようです。太郎さんは弾丸《たま》のない空気銃を抱いて涙ぐみました。
そのうちに不図お祖父様《じいさま》の手箱の中に赤い丸薬があった事を思い出しました。ちょうどお祖父《じい》様は御年始に行かれた留守でしたから、そっとお室《へや》へ行って床の間の手箱をあけて丸薬の袋を盗み出しました。
その袋の中には赤い丸薬がたった三粒ありました。空気銃に入れてみると丁度良い位の大きさです。
太郎さんは大喜びで三粒の赤い丸薬を持って表に出て、屋根の上にいる雀を狙
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