タ今まで感じていた割れるような頭の痛みと、タマラない全身の悪寒戦慄《ぞくぞく》が、あとかたもなく消え失せてしまって、何ともいえない気持のいい浮き浮きした酒の酔い心地が、モウ一度ムンムンと全身に蘇《よみがえ》って来るのを感じたので、吾知らずウットリとなって、血だらけの鉄鎚《かなづち》を畳の上に取落して汚れた両手でお作を引寄せながら天井を仰いだ。
「……ハハハ……どうもしとらん……アハハハハハハ……」



底本:「夢野久作全集4」ちくま文庫、筑摩書房
   1992(平成4)年9月24日第1刷発行
底本の親本:「冗談に殺す」春陽堂
   1933(昭和8)年5月15日発行
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2005年8月20日作成
青空文庫作成ファイル:
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