甲賀三郎氏に答う
夢野久作

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)欣快《きんかい》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)|+−0《プラスマイナスゼロ》式な
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 ぷろふいる誌、九月号所載、甲賀三郎氏の「探偵小説講話」末尾に於て、特に私が文芸通信誌上に書いた「探偵小説の真使命」と称する一文のために「夢野久作君に問う」の一項を設けられたについて御回答申上る事を近頃の欣快《きんかい》とし且つ光栄とするところである。
 ところが実を云うと私は「御回答申上る言葉がない」と云う以外に御回答申上る言葉がないのである。それは何故か……。
 第一に私の書いた「探偵小説の真使命」は文芸通信社からの註文で書いた、即興的な自己反省の感想文に過ぎないので、ぷろふいる誌の「探偵小説講話」もしくは甲賀三郎氏の御話に対する批難でも反駁《はんばく》でも何でもないつもりで書いたものだからである。
 第二に甲賀氏の「夢野久作君に問う」の御議論は、私の自己反省の内容を全面的に否定されているように見えながら、実は全面的に肯定し、支持して居られるものとしか私には考えられないので、そう
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