した意味以外の局部的なお叱りは単に私の無学さと、頭のわるさを指摘して下さった御親切以外の何者でもないとしか思えないからである。
そうして究極するところ、私は無言のまま頭を下げるよりほかに致し方のない事を自省し得たからである。
だから私は、こうした甲賀氏の御親切に対して全面的に御礼を申上げると同時に、探偵小説なるもののために、かく迄も後進の言動を留意し指導して下さる同氏の御熱心に対して茲《ここ》に謹しんで満腔の敬意を払う次第である。
――さて――それはそうとして私は今一つぷろふいる誌とその読者諸賢に謝罪しなければならない事がある。それは何か……。
それは何事かと云うと曩《さき》に甲賀氏が書かれた「夢野久作君に問う」という一文と、本号の「甲賀三郎氏に答う」と書いた一文を読まれた読者諸賢は、恐らく甲賀氏が私に何を云われ、私が甲賀氏に対して何をお答えしているかという事を理解するに苦しまれたであろう。これは私が本誌上に於て「私は探偵小説なるものをこう考えている」という事を一度も発表さしてもらわなかったせいであると考えている事である。
だから私は、その謝罪の意味で「探偵小説なるものに対す
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