るで警察が、寄ってたかって冷かしものにされとるようなあんばい[#「あんばい」に傍点]だ」
「早川医学士と、時枝のおやじと、轢死女の血を取って胎児の血液と比較すれば、すぐにわかる話じゃないか」
「他殺か何かなら、それ位のことをやって見る張り合いがあるけども、自殺じゃ詰らんからネエ……まだ他に事件が沢山《うん》とあるもんだからトテも忙がしくて……」
「早川や姉歯は今どうしている」
「どうもしとらんさ。そのうちに柳川ヨシエの行先がわかったら知らせます……そうしたら轢死女と違うかどうか、おわかりになりましょう……とか何とか吐《ぬ》かしおって……」
「君の方じゃそれ以上突込まないのか」
「突込んでも無駄だと思うんだ。おれの睨んどるところでは、みんな昨日から昨夜のうちに、いくらか宛《ずつ》、時枝のおやじに掴ませられとるらしいんだ。その黒幕はやっぱりアノ姉歯の奴で、君の書いた夕刊を見るなり、佐賀の時枝へ電話か何か掛けおったんだろう」
「そうだ。それに違いないよ」
「君の新聞に書かれる前に、警察《こっち》の手で引っぱたけば一も二もなかったんだが、すっかり手を廻しくさって……口を揃えて新聞記事を事実無根
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