行くまいが……耶蘇《やそ》教の苅萱道心《かるかやどうしん》みたような事になりはしないか、という母親の懸念であったが、そこは大掴みな豪傑代表が二人も揃っていたので、大請合いに請合って、首尾よく母子《おやこ》二人を連れて博多に戻って来た。直ぐに福岡市大名町に在る赤煉瓦の天主教会へ代表二人で乗込んでこの今様苅萱道心問題を解消さすべく談判を試みる事になったが、そこへ出て来た宣教師のジョリーさんという仏蘭西《フランス》人が、日本人以上に日本語がよくわかる上に、日本人以上に粋《すい》を利かせる人だったので助かった代表二人の喜びと安心は非常なものがあったという。
その時の談判の結果、いよいよ結婚式の当日になると、湊屋の病床を中心にして上座に、新婦と娘、天主教会員、花輪なぞ……下座には着慣れぬ紋付袴の市場連中がメジロ押しに並んだ。が、流石《さすが》に盛装した新婦と娘は、変り果てた夫であり父である仁三郎の姿を見てシクシクと泣いてばかりいた。
そこへ宣教師の正装をしたジョリーさんを先に立てた和洋人の黒服が四五人ばかり、銀色の十字架を胸に佩《お》びてゾロゾロと乗込んで来たので、居住居《いずまい》を崩し
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