乳類……」
「まあ待ちなさい。それじゃけに鯨は人間と同じこと、三々九度でも新婚旅行でも何でもする。私ゃ大事な研究と思うたけに、実地について見物して来た。しかも生命《いのち》がけで……」
「アラ。まあ。アンタ見て来なさったと……」
「お前たちに見せてやりたかったなあ。その仲の良《え》え事というものは……お前たちは人間に生れながら新婚旅行なんてした事あ在《あ》るめえ」
「アラ。済まんなあ。新婚旅行なら毎晩の事じゃが」
「アハハ。措《お》きなはれ。阿呆《あほ》らしい」
「阿呆らしいどころじゃない。権兵衛が種蒔きなら俺でも踊るが、鯨のタネ蒔きバッカリは真似が出来ん。これも学問研究の一つと思うて、生命《いのち》がけで傍《にき》へ寄って見たが、その情愛の深いことというもんなア……あの通りのノッペラボーの姿しとるばってん、その色気のある事チュタラなあ。ちょっとこげな風に(以下仁三郎|懐手《ふところで》をして鯨の身振り)」
「アハハハハ……」「イヒヒヒ」
「オイ仁三郎……大概にせんかコラ……」
「海の上じゃけに構わん。牡も牝も涎《よだれ》を流いて……」
「アラッ。まあ。鯨が涎をば流すかいな……」
「流
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