は貴様達二人が貰われるように、証文をば書いておけと云いよるのじゃろう」
「その通りその通り。貴様は話がようわかる」
「そんならその保険に掛ける金は、誰が掛けるとかいネエ。貴様達が掛けるか……」
「馬鹿云え。知れた事。貴様の保険じゃけに、貴様が掛けるにきまっとるじゃないか」
「……馬鹿ッ……帰れッ……」
 青柳に大喝された水野は、上り口から飛降りて、下駄を提げたまま二三町無我夢中で走った。その白足袋を宙に舞わして逃げて行った恰好が、今思い出しても可笑《おか》しいと青柳喜平氏は筆者に語った。
「怪《け》しからん親友もあればあるものです。私が肥っているのを見て煮て喰いとうなって保険の鍋《なべ》に這入れとすすめに来る奴です。彼奴等《あいつら》の無学文盲にも呆れました」
 吉報を待ってチビリチビリやっていた仁三郎は、門口から悄然《しょうぜん》と何か提げて這入って来た水野を見てビックリした。
「どうしたとや。何をば提げて来たとや」
 水野は黙って下駄を出して見せた。頭を掻きながらタメ息を吐《つ》いた。
「詰まらん。青柳は知っとる」
 篠崎もソレとわかって長大息した。
「そうか。知っとっちゃ詰まらん
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