奇妙な遠眼鏡
夢野久作
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)その中《うち》で
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一番|温柔《おとな》しい児
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ある所にアア、サア、リイという三人の兄弟がありました。
その中《うち》で三番目のリイは一番|温柔《おとな》しい児でしたが、ちいさい時に眼の病気をして、片っ方の眼がつぶっていましたので、二人の兄さんはメッカチメッカチとイジメてばかりおりました。
リイは外へ遊びに行っても、ほかの子供にやっぱしメッカチメッカチと笑われますので、いつもひとりポッチであそんでいましたが、感心なことに、どんなに笑われてもちっとも憤《おこ》ったことがありませんでした。
ある時、三人の兄弟はお父さんとお母さんに連れられて、山一つ向うの町のお祭りを見に行きましたが、その時お父さんが、
「今日は三人に一つずつオモチャを買ってやるから、何でもいいものを云ってみろ」
と云われました。
アアは、
「何でも狙えばきっとあたる鉄砲がいい」
と云いました。サアは、
「何でも切れる刀が欲しい」
と云いました。又リイは、
「どこで
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