兄貴の云うことをきかないで戦争の用意をするなんて憎い奴だ。それならこっちから戦争をしかけて滅茶滅茶負かしてやれ」
 と云うので、すぐに兵隊を呼び集めました。
 アア王とサア王の妃《きさき》はもともと姉さんと妹ですから、大変心配をしまして、いろいろに二人の王様の戦争の用意を止めようとしましたが、二人ともなかなか云うことをききません。
 二人のお妃は只泣くよりほかはありませんでした。
 この有様を月の世界から見たリイは、月姫にこう云いました。
「私はこの戦争を止めに行かなければなりません。そうして二人の兄さんが一生涯戦争をしないようにしなければなりません」
 月姫はこれをきいて、
「ほんとに早く止めて上げて下さいまし。二人のお姉様がお可哀想です。けれども、どうしてこんな大戦争をお止めになるのですか」
 と眼をまん丸にして尋ねました。
 リイはニッコリ笑いながら、
「まあ見ていて御覧なさい」
 と云ううちに又も遠眼鏡を眼に当てました。
 リイは遠眼鏡を眼に当てながら、一番兄さんの宝物《ほうもつ》の鉄砲はどこにあるかと思いながら、
「アム」
 と云いますと、すぐに兄さんのアア王のお城の宝庫《た
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