っても居てもいられぬようになりました。
中村半次郎様と私とは、お話にきいた事のある夫婦児《めおとご》だったに違いない。一人はお母様に似て、一人はお父様に似た双生児《ふたご》だったに違いない。そうしてお母様は私達二人をお生みになると間もなく、お父様に知れないように男の子の方を本当のお父様の処へお遣りになったので、そんな事を何もかも引き受けてお手伝いしたのは、あのオセキ婆さんだったに違いない。そうと考えるよりほかに考えようがないのをどうしましょう。
「ああ。中村珊玉様……あなたはそれほどまでに私のお母様を……そうして又私のお母様も……」
と叫びかけて私はハッとしながら、自分の手で自分の口を押えました。
今から考えますと私はどうしてこの時に発狂しなかったのでしょうと不思議に思われる位で御座います。
いいえ。私はそれから後《のち》暫くの間、発狂していたのかも知れませぬ。その夜《よ》遅くに岡沢先生のところのお湯殿で、もう二度と見ない決心をしておりました鏡の前に丸一年ぶりに坐りまして、その中に坐っておられるお母様の顔を見つめながらいつまでもいつまでも涙を流しておりました私の姿を、もしお兄様
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