灯《つ》けまして、ふるえる指で目次にありましたあなた様の感想談のところを開いてみましたが、それを読んで行きますうちに私は、もう今にも声を立てて泣きたいようになりましたのを、袖を噛みしめ噛みしめしてやっと我慢し通したことで御座いました。
それは今度の追善興行につきまして、あなた様が雑誌記者にお洩らしになった御感想のお話でしたが、その時にお写真と一緒に切り抜いて大切に仕舞っておりましたのをここに挟んでおきます。古い事で御座いますからもうお忘れになっているかも知れぬと存じまして……。
初の大役「琴責め」
[#地から3字上げ]中村半次郎丈談
ありがとう存じます。
おかげで熱も出なくなりましたし、場合が場合ですから生命《いのち》がけで勉強しております。
この阿古屋の琴責めというのは、当家の六代前の先祖で白井半之助というのから伝わっておりますので、父の代になってから方々で演じて、いつも当りを取ったものだと申します。着付はその代々の好みになっているのですが、父の代になりましてからは牡丹《ぼたん》に蝶々ということに定《き》めてしまいました。帯は黒地に金銀の唐草模様で、きまっていない
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