何をッ……又してもぬけぬけと……」
「イイえ……こればっかりは正《まさ》しく……」
「エエッ……まだ云うかッ……」
「イエ……こればかりは……」
「黙れッ……ならぬッ」
 とお父様が仰有る途端に私を、お突き放しになりましたので、私はバッタリと倒れて、お琴の上にひれ伏しました。それと一緒に琴柱《ことじ》が二つか三つたおれてパチンパチンと烈しい音がしたように思います。
 私はこれから先の事を書くに忍びませぬ。
 けれどもこれから先の事を書きませぬと、何もかも疑問のままになると思いますから、記憶《おぼ》えております通りに記し止めさして頂きます。
 私がようやっと、お琴の上から起き直りました時には、畳の上に正座して、両手を膝の上に置いたまま、うなだれておいでになるお母様と、それに向い合って、突立っておいでになるお父様のお姿が、暗いお庭を背景にして見えましたが、その時にお父様は、右手に刀を提《さ》げておいでになった筈でしたけれども、その刀はお父様の身体《からだ》の蔭になって、私の目には這入りませんでした。只、お母様のうしろの壁に、赤い花びらのような滴《したた》りが、五ツ六ツ、バラバラと飛びかかっ
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