おけかかった髪を丸櫛で、掻き上げてから、やおら眼をあげてお父様を御覧になりましたが、その時のお母様の神々《こうごう》しかったこと……悲しみも、驚きも、何もかもなくなった、女神のような清浄なお方に見えました。
お母様はそれから両手をチャンと、畳の上に揃えながらジッとお父様のお顔を見上げながら云われました。
「申訳御座いません……お疑いは御尤《ごもっと》もで御座います」
と云ううちに新しい涙がキラキラと光って長い睫《まつげ》から白い頬に伝わり落ちましたが、お母様はそのまま言葉をお続けになりました。
「どうぞ、お心のままに遊ばしませ。私は不義を致しましたおぼえは……」
「何ッ……何ッ……」
「不義を致しましたおぼえは毛頭御座いませぬが……この上のお宮仕えはいたしかねます」
「……………」
「お名残り惜しうは御座いますが、あなたのお手にかかりまして……」
「何ッ……何じゃと……」
と云いつつお父様はグイグイと私を、おゆすぶりになりました。
お母様はハフリ落つる涙を鼻紙でお押えになりました。
「ただ、そのトシ子だけは、おゆるし下さいますように……。それは正《まさ》しくあなた様の……」
「
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