奥様探偵術
夢野久作
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)小突《こづ》き
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)時々|他所《よそ》へ泊らせないと、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)マダムのつけ[#「つけ」に傍点]目なのでした。
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あるところに一人のオクサマがありました。
その奥様は次のような場合に、キット御主人に喰ってかかられました。胸倉を取って小突《こづ》きまわされました。「もう出て行く」と紋切型を云われました。引っくり返って足をバタバタされました……かも知れませんでした。
……御主人のお帰りが晩《おそ》い時……
……御主人の身体《からだ》か、持物か、お召物のどこかが酒臭い時……
……会社に電話をかけて、出張が嘘だとわかった時……
……料理屋の勘定書が袂《たもと》や紙屑籠から出て来た時……
……女の手紙か、又は、女の手らしい男名前の手紙が来た時……
……近所の行きつけの床屋で髪を苅られなかった時……
……会社の近くのタクシーで帰られなかった時……
……どこかに女の髪毛《かみのけ》がくっつ
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