男であろう。
 それからカルロ・ナイン殿下はその後ずっと松平子爵の処に居て、西比利亜《シベリア》の形勢を他所《よそ》に益々美しく大きくなっておられたが、セミヨノフ将軍が蹉跌《さてつ》して巨大な国際的ルンペンとなり、ホルワット将軍が金を蓄《た》めて北平《ペーピン》に隠遁したあとは、巴里《パリー》に隠れておられる父君ウラジミル大公……仮名ルセル伯爵の膝下《しっか》に帰って日本名を象《かたど》ったユリエ嬢と名乗り仏蘭西の舞踏と、刺繍と、お料理の稽古を初められた。
 伜のミキ・ミキオ……戸籍名狭山嬢次とも大変にお心安くして下さるようである。



底本:「夢野久作全集7」ちくま文庫、筑摩書房
   1992(平成4)年2月24日第1刷発行
※本作品中には、身体的・精神的資質、職業、地域、階層、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加えて、作者の抱えた限界を読者自身が認識することの意義を考慮し、底本のままとしました。(青空文庫)
入力:柴田卓治
校正:かとうかおり
2000年12月27日公開
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文
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