けると、手を伸ばして背後《うしろ》に横たわるゴンクールのポケットから巨大なブローニングを取り出した。その銃口《つつぐち》を覗いて見ながら……、
「……何でもないんです。今朝《けさ》早くお母さんに合鍵を渡して、ゴンクールの寝室から生命《いのち》がけでこのブローニングを取って来てもらったのです。僕が行ってもよかったんですけど、母が承知しなかったもんですからね。そうして銃身の撥条《バネ》を墨汁《すみ》で塗ったヒューズと取り換えておいたのです。……ですから撃鉄《ひきがね》を引いても落ちやしないんです。この通りです」
と云ううちにゴンクール氏の心臓に向けて撃鉄《ひきがね》を引いて見せた。
……轟然一発……。
薄い煙がゴンクール氏を包んだ。白いワイシャツに黒い穴が開いて、その周囲《まわり》を焼け焦げが斑々《まだらまだら》にめらめらと焼け拡がった。……と見る間にその下の茶色の毛襯衣《けシャツ》の下から、黒い血の色が雲のように湧き出した。
「……あれっ……」
と母親が悲鳴をあげた。
玄関に残っていた四名の刑事も驚いたらしく、どかどかと這入って来たが、志免警視に支えられたまま一斉に屍体を凝視し
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