ていた好奇心が、全身にたまらなく充ち満ちて来るのを感じた。
私は用心しなくともよかろう……とは思いつつ本能的に用心しながら静かに硝子《ガラス》窓を押し明けた。栓が止めてないのでスーウと開《あ》いた。その窓框《まどかまち》に両手をかけて音もなくひらりと中に跳り込んで、改めて室《へや》の中を見渡した。
洋盃《コップ》は床の上に転がっている。絨毯は踏み散らされて皺《しわ》になっている。珈琲碗は飛び散っている。時計は九時五分を示している。
その下にゴンクール氏は黄蝋色に変色した唇を開いたまま、あおむいている。その丈夫そうな歯はすっかり乾燥して唇にからび附いている。
そんなものをすっかり見まわしてから私は静かに眼をあげて女の顔を見た……が……意外な事を発見して思わずたじたじと後退りをした。
……見よ……。
涙が一筋右の顳※[#「※」は「需+頁」、第3水準1−94−6、358−13]《こめかみ》を伝うて流れている。左右の長い睫《まつげ》にも露の玉が光っている。紅をつけた唇の色はわからないが厚化粧をした頬には処女の色がほのめいている。女は死んだ人間のように見えぬ。
この時の私の心持ちは
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