本社の探聞し来《きた》れるところに依れば、今回の事件は前警視庁第一捜査課長狭山九郎太氏の辞職と重大関係あり。すなわち右曲馬団員は某国々事探偵の一団にして、欧米各国及び東洋の暗黒街より招集せし無頼漢を以て組織しあり。今回の如き無智にして、且つ兇猛無鉄砲なる反抗を試みたるは、日本の警察を自国のそれと同視したる結果と見るを得べし。又団長バード・ストーン氏は××資本団の手先となりて各国の反乱革命を助長する暗黒公使の名あり。目下進行中の××協商に対し、何等かの暴力的手段に依り障害を与うる目的を以て、曲馬団を装いて渡来せるものの如く、同曲馬団員にてカルロ・ナイン嬢と共に花形役者たりし伊太利《イタリー》少年、ジョージ・クレイの逃亡直後にこの事変の勃発せるより見れば、同少年もこの事件に関係なきを保し難し。而して前課長狭山九郎太氏は、この曲馬団の渡来以前に逸早くこの曲馬団の内容を看破し、総監室に於て総監と高声に激語し合いたる事実あり。同室内の反響甚しかりしを以て詳細の点は聴取し難かりしも狭山課長が日本の某国に対する軟弱外交を非難罵倒せるに対し、総監が極力これを説服せむと試みたるは事実なり。そして狭山課長
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