のである。ただその半ば開いた唇の辺が、時々|微《かすか》に震えているのが全く死に切れないでいる証拠であろう。
 女はそうした相手の姿を冷やかに見下してかすかな笑みを浮かめたようである。大方、ゴンクール氏が、自分の望み通りになったのを喜んだものであろう。いくらか勝ち誇った気持を見せて笑った。
「……ゴンクール様……貴方は最早《もう》そんなに、おなりになりましたか……。お弱いお方ですこと……ホホホホ……。
 ……けれども妾《わたし》は嬉しゅうございます。これからが妾の世界でございますから。私は嬢次様のお頼み通りに貴方を罰する事が出来るのですから。落ち着いてこの号外を読む事が出来るのですから……。
 ……ですけどもゴンクール様。わたくしはその前に貴方に申上げておかねばならぬ事があります。それは……この号外を聞いている人が貴方お一人でないという事です。この室《へや》の外で、この号外の読み声を聞いておいでになる方がお二人あるという事です。そのお二人は志村のぶ子さんと呉井嬢次様でございます。お二人は御自分の思い通りの仇討ちが実現されましたこの号外の中の出来事が、貴方のお耳にすっかり這入ってしまうの
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