ぬ流麗な英語であった。さながらに名歌手の唇と情緒を思わせるような……。
「お撃ちなさい……撃って下さい……ゴンクール様。妾《わたし》はもうこの世に望みのない身体《からだ》でございます。妾の一生涯はもう過ぎ去ってしまっているのでございます。……ですからもう何もかも本当の事を申上げてしまいます。そうして貴方の御勝手になすって頂きます。
……最前からわたくしが申しました事は、みんな真実でございます。……けれども……その中《うち》にたった一つ嘘がございました。それは妾が狭山の姪という事でございます。妾は狭山様と縁もゆかりもない者でございます。
……妾が狭山様のお宅に伺いましたのは今日が初めてでございました。それまではただお顔とお名前を新聞で存じておりましただけでございました。
……わたくしたち三人……志村のぶ子様と、呉井嬢次様と、わたくしとの三人は、狭山様のお手を借りないで、あなた方に復讐をするために、わざと狭山様のお家を拝借したのでございます。そうして貴方以外の方々への復讐は完全にもう遂げられているのでございます。その事を貴方がお気付きにならないように貴方をここへ引き止める役目を妾が受
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