スです。……わかりますか……ノンセンス……欺されている事……」
女はうなだれたまま唇をわななかした。蚊《か》の泣くような細い声で云った。
「……欺されても構いませぬ。嬢次様のおためなら……」
「……そ……そんな……ノンセンス……」
とストーン氏は急に真剣になって片手をあげた。
「……貴女《あなた》は大変な損をします……貴女はたった一人ここに居りますか……たった一人約束守って……」
「……守ります……死ぬまで守ります」
と云ううちに長い袖をかい探って顔に当てた。
ストーン氏は憮然として椅子に反《そ》りかえりつつ長大息した。
窓の外で私も人知れず長大息させられた。
この女は最前からかなりの嘘言《うそ》を吐いている。けれどもその嘘言《うそ》は皆、真実を材料《たね》にしたもので、ただ私がこの女の叔父であるという事と、馬に毒を嘗《な》めさせたのを少年の所為《せい》にしている事と、この二つのために全部が嘘に聞えているので、実は皆ありのままを述べているとしか考えられないのである。「真実ばかりの嘘」というものがもしあるとすれば、この女の今まで云った言葉は正にそれで、特に最後の思い詰まった
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