して……この絵葉書は、亜米利加《アメリカ》の市俄古《シカゴ》で見物に売った残りだ。私はこれを座長のバード・ストーンさんに貰ったのだ。これさえ隠しておけば、ほかに私の写真は一枚もないのだから、警察へ頼んでも私を探すことは出来ない……と云われました」
「……悪魔《サタン》……」
 とストーン氏は突然に調子の違った声で云い放って舌打ちをした。恋のために盲目になった女が如何に手に負えぬものであるかをしみじみと悟ったらしい……と同時にストーン氏の態度から、今までの紳士的な物ごしが消え失せて一種の野蛮的な、無作法な態度に変って来た。それは恰《あたか》も馬に乗って野獣を狩り、紅印度《レッドインデヤン》と戦い、丸木の小舎に旋条銃《ライフル》を抱いて寝る南部|亜米利加《アメリカ》人をそのままに、椅子に腰をかけたまま両脚を踏み伸ばし、両腕を高く組んで、忌々《いまいま》しそうに唇を噛みしめつつ、机の上の髑髏《どくろ》に眼を外《そ》らして白眼《にら》み付けた。その兇猛な、慓悍《ひょうかん》な姿は、もし知らぬ人間が見たら一眼で顫え上がってしまうであろう。
 けれども女は眉一つ動かさなかった。その淑《しと》やかに
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