利加に居るうちからよく知っている。その中《うち》に是非会いたいと云われました」
「……違いますねえ……ジョージは初めからその事をよく知っておりました。貴女《あなた》の叔父様に会いたいために貴女のお友達になったのです。貴女はそのことわかりませぬか」
「妾《わたし》が狭山の姪という事がどうして判りましょう。私が嬢次様にお眼にかかったのは、日本にお着きになってから二日目ではございませぬか」
「……ジョージは狐のような知慧を持っております。ジョージは貴女《あなた》を知っていたに違いありませぬ」
「どちらでも妾《わたし》は構いませぬ」
「……フム……フム……フム……それで……それでジョージに会うのに、それから貴女《あなた》はどうして会いましたか」
「ハイ。嬢次様はいつもお手紙で時間と、場所を知らせて下さいましたが、大方朝の間が多うございました」
「貴女《あなた》のお住居《すまい》は……」
「申し上げられませぬ」
「何故、叔父様と一緒に居ないのですか」
「日本の習慣に背くからでございます」
「……フム……フム……」
 とストーン氏は、いくらか云い籠められた形になって躊躇した。しかし儼然《げんぜん》
前へ 次へ
全471ページ中369ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング