号令をかけられた軍隊のように整然としている気持ちよさとを、心ゆくまで感じていた。その時に誰か私の前に近づいて来るように思ったから、何気なく眼を開《あ》いて見ると、それは一人のボーイであった。
ところでそのボーイが差出した紫色の包みを受取って、中味を検《あらた》めようとした時に、その包んだ風呂敷が、紫色の絹ハンカチである事に気付くと同時に、私ははっとさせられた。そうして今日じゅうの出来事……否、二年前の東京駅ホテル殺人事件以来の出来事の裏面に潜む、想像を超越した奇怪な出来事が、一時に解決されかかったように思いつつ、眼の前に並んだ四枚の皿を見まわした。
それから私は立ち上って出て行きがけに、念のため私が自分で註文した食事が、黒|麺麭《パン》とスープとハムエッグスと、ウイスキーを入れた珈琲《コーヒー》の四皿に相違なかったかどうかをボーイに問い確かめてみると、ボーイはその通りですとハッキリ答えた。その時に私は一切の秘密を明かにする裏面の真相が電光のように私の頭に閃めき込むのを感じたのであった。
私の第六感の作用のすばらしさをハッキリと感じたのであった。
読者は記憶しておられるであろう。
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