合を私は又、仮りに二種類に分けて考えているのである。
その第一種は昔から俗に云う「虫の知らせ」という奴で、細かく分けると「鴉《からす》鳴きが悪い」とか、「下駄の鼻緒が切れた」とか「鼬《いたち》が道を切った」とか、又は「夢見が悪い」とか「鳥影がさした」とかいうあれである。これはその人間の第六感が或る事を感じていながら、まだ意識のうちに現われて来なかったのが、そんな出来事に出会った拍子にひょいと現われて、何かの異変を知らせているので、決して迷信とか旧弊といって排斥すべきものではないのである。
譬《たと》えば鴉がいつもと違った陰気な低い声で「カアア……」と啼《な》く。おやと思ってその方を見る。その瞬間、その人の頭の中にあるいろいろのあり触れた妄念が綺麗に消え失せて、只ぽかんとした空《から》っぽの頭になる。そこに「第六感」がアリアリと浮かみ現われて、その日のうちに起りかけている悪い出来事を感じている。
鼬がすらりと道を横切る。……アレ……と思ってその影を見送るはずみに、今まで考えて来た事をふッと忘れる。あとには「第六感」だけが残って、行く手の災難を予覚している。
誰でも下駄の鼻緒が切れ
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