心得ているために、このような大きな自然界の事実を見落しているものと思う。
 その証拠にはこの問題を普通の人に持ちかけると皆、符節を合わせたように同じ返事をする。
「それは特に貴下のような特別の職業に従事している人に限って発達している一種の能力で、我々は及びもつかぬ事でしょう」
 と云う。そこで私が追《お》っ蒐《か》けて、
「いやそうでないのです。凡ての生命《いのち》あるものは皆、この能力を持っているものです。私共にだけあって貴方《あなた》がたにないという理窟はありませぬ。この宇宙間には眼で見え、耳で聞え、鼻に匂い、舌で味《あじわ》われ、手で触れられるもの以外に、まだまだ沢山の感じられ得るものがあるのです。下等な動物は五官の作用を持たないままに、そんなものを直覚して生活しているのです。それがだんだん高等な動物になって、手が生え、舌が出来、眼が開《あ》き、耳が備わって来るにつれて、そんな五官の作用ばかりをたよりにするようになって、ほかの直覚作用を信じなくなって来るために、そんな作用がだんだん退化して来るのです。殊に文明人となると、五官の働きを基礎とした学問や常識ばかりをたよりにして電信電話
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