同志に一本でも附着《くっつ》き合ったり、押し合ったりしているものはなく、皆お互に相談をして譲り合ったかのように、程よく隔たりを置いているのも、この考えから見れば何の不思議もないので、換言すれば下等な生物になればなる程……耳や鼻や口がなくなって、五官の活用がなくなればなくなる程……第六感ばかりで生活している事になる訳である。
だから人間の中でも文化程度の低いものほど「第六感」が発達している理由がよくわかって来る。野蛮人は磁石なしに方角を知り、バロメーターなしに悪天候を前知する。又は敵の逃げた方向を察し獲物の潜伏所を直覚するなぞ、その第六感の活用は驚くべきものがある。これは我々文明人が、あまりに眼とか耳とかいう五官の活用に信頼し過ぎたり、理詰めの器械を迷信し過ぎたりするために、この非常に貴い、この上もなく明白な「天賦の能力」を忘れているからで、一つは近頃の世の中が、あまりに科学や常識を尚《たっと》ぶために、人間の頭が悪く理窟で固まってしまって「神秘」とか「不思議」とか「超自然」とかいう理窟に当て箝《は》まらない事を片端《かたはし》から軽蔑して罵倒してしまうのを、文明人の名誉か何ぞのように
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