と、緑の四色の化粧服で、長い槍の尖端もニッケル鍍金《めっき》で光っている。ただ人間と馬だけは本物のコサック産らしく、場内に乗り込んで来ると直ぐに左右に引き別れて槍の試合を初めた。試合といっても、それはほんの武技の型に過ぎなかったが、それでも随分猛烈なもので、マーチに入れ交る野蛮な掛け声と共に、木《こ》ッ葉《ぱ》のように馬を乗りまわし、槍を搦《から》み合わして闘いながら落ちようとして落ちなかったり、馬の腹をぐるぐる這い廻ったりするところは、度々見物を唸《うな》らせた。
十分間ばかりで試合が済むと見物席に一しきり喝采《かっさい》が湧いた。烈しい口笛を鳴らす者もあった。これは一座の明星カルロ・ナイン嬢の出場を予期した動揺であったらしい。その十分に調子付いた見物の亢奮《こうふん》的喝采の裡《うち》に、コサック式の白い外套、白い帽子、白手袋、白長靴、銀拍車という扮装《いでたち》で、白馬に跨《またが》ったナイン嬢は、手綱を高やかに掻い繰りながら現われたが、私の居る特等席の正面七八間の処まで来て馬を止めると、見物一同に向って嫣然《にこやか》に一礼をした。見ればまだ十五六にしか見えない花恥かしい少女
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